心臓
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[症例]
洞停止による心停止を繰り返した心アミロイドーシスの1例
今村 沙梨折居 誠谷本 貴志山野 貴司猪野 靖山口 智由平田 久美子中村 靖司久保 隆史今西 敏雄赤阪 隆史
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2014 年 46 巻 7 号 p. 908-914

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抄録

 症例は70歳男性. 胸痛を主訴に当院へ救急搬送中, 洞停止から無脈性電気活動 (pulseless electrical activity ; PEA) となり心肺蘇生 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) が開始された. 速やかに洞調律に復帰し, 経胸壁心エコー図で全周性の左室壁厚増加とびまん性の壁運動低下を認めた. 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかった. 入院後も洞停止を認めたため, 第2病日に一時ペーシングを留置した. 留置直後に再び洞停止からPEAとなり, ペーシング刺激にも反応せず, CPR施行下に経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) を挿入した. 挿入後自己心拍が再開し, 第4病日にPCPSから離脱, 洞調律が安定していることを確認して第15病日に一時ペーシングを抜去した. 肺炎による急性呼吸促迫症候群 (acute respiratory distress syndrome ; ARDS), PCPS挿入部には真菌感染を認め, 感染性の播種性血管内凝固も併発した. 第24病日に再度突然の洞停止が出現し, 心室細動へと移行した. CPRを開始するも自己心拍は再開せず, 永眠された. 病理解剖で刺激伝導系にアミロイド沈着と線維化, 多臓器にアミロイド沈着を認め, ALアミロイドーシスと診断した. 刺激伝導系へのアミロイド沈着は伝導障害をきたす可能性がある. 心肥大の症例で刺激伝導異常を合併する場合には, 心アミロイドーシスを鑑別に入れることが重要である.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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