心臓
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第26回 心臓性急死研究会
原因不明の運動誘発性心室細動を呈した若年発症の洞不全症候群の1例
金山 純二野田 崇中島 育太郎石橋 耕平宮本 康二岡村 英夫相庭 武司鎌倉 史郎草野 研吾安田 聡小川 久雄
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2014 年 46 巻 SUPPL.2 号 p. S2_160-S2_166

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抄録
 55歳, 男性. 失神の既往はなく, 突然死の家族歴なし. 学童期の健診で徐脈を指摘されていたが, 運動部に所属し症状なく過ごしていた. 35歳時に徐脈 (30回/分) 精査のため当院を受診した. 器質的疾患は示唆されず, 運動時の心拍応答も良好であったため, 外来経過観察となった. 2013年6月, 意識消失発作と徐脈のため, 当院外来を再診した. 12誘導心電図では洞性徐脈 (37回/分) 以外特記すべき所見は認められず, 心エコー図検査では両心房の拡大が認められた. 再度トレッドミル検査を施行したところ, 洞調律から心房細動へと移行し, さらに心室細動へと移行した. 直ちに心臓マッサージを施行したところ自然に洞調律へと復帰した. ひきつづき入院精査を行った. 冠動脈造影検査および冠攣縮誘発試験, 心臓MRI検査ではいずれも疾患特異的な所見は認めなかった. ピルジカイニド負荷試験ではBrugada型心電図を認めず, エピネフリン負荷試験では, 心房細動が誘発されるものの, 心室細動にはならなかった. 電気生理検査では洞機能不全とHV時間の延長を認めた. 右室心尖部および流出路からの3連刺激では心室細動は誘発されなかった. 以上より特発性心室細動と診断し, 植込み型除細動器移植術を施行した. その後, 心室細動の再燃はなく, 退院となった. 運動負荷試験により心室細動が誘発された洞不全症候群の一例を経験した.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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