心臓
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第26回 心臓性急死研究会
Brugada型心電図を認め心室細動の発生に寄与したと考えられた冠攣縮性狭心症の1例
楢林 ゆり子伊藤 尚志橋本 晃矢﨑 義行榎本 善成堀 真規久次米 真吾野呂 眞人中村 正人杉 薫
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2014 年 46 巻 SUPPL.2 号 p. S2_75-S2_82

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抄録
 症例は49歳男性. 平成25年7月の早朝に自宅で倒れているところを家族が発見, 心室細動 (VF) を認め自動体外式徐細動器で除細動後当院に搬送された. 来院時の心電図ではBrugada型心電図を疑う所見を認め, 冠動脈造影では左冠動脈前下降枝に75%狭窄を認めた. アセチルコリン (ACh) 負荷試験で同部位の完全閉塞を認めVFを認めた. 十分な冠拡張薬を投与し後日冠動脈造影を再検したが, やはり同部位に75%狭窄を認め, 経皮的冠動脈インターベンション (PCI) を施行した. その後も心電図ではtype 1のBrugada型心電図を呈しており, PCI後に施行した心臓電気生理検査でVFが誘発され, イソプロテレノール投与下ではVFは抑制された. 本症例は器質的冠動脈狭窄に伴う冠攣縮からVFを呈したと考えられるが, その特徴的な心電図と電気生理学的特徴からBrugada症候群の因子もあると考えられ, 示唆に富む症例と考え報告する.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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