心臓
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第27回 心臓性急死研究会
Full stomach testによって著明な孤立性遅延電位が誘発されたBrugada症候群の1例
大野 誠上山 剛古賀 康裕加藤 孝佳文本 明子石口 博智矢野 雅文清水 昭彦
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_146

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抄録

 症例は59歳男性. これまで失神歴はなかった. 平成26年3月21日の夕食後に家族と会話中に当然数分間意識がなくなった. その後市中病院の救急外来を受診したところ再度意識消失し, モニター心電図で心室細動が確認され, 電気的除細動にて洞調律に復帰した. 洞調律復帰直後の心電図でV1・V2誘導にてcoved typeのST上昇所見を認めた. その際に施行された心エコー検査や冠動脈造影検査で器質的な異常を認めなかった.

 以上から本例をBrugada症候群と診断した. また本例の失神が食後に出現していることから, Full stomach testを実施したところ, 食直後にJ点に続く著明なfractionated potentialが一過性に出現し, 15分程度で消失するという所見を得た. この電位は加算平均心電図による観察ではQRS波とは孤立した著明な遅延電位であった.

 ハイリスク群のBurgada症候群患者において観察される遅延電位の重要性は知られるところであるが, Full stomach testにて遅延電位が一過性に誘発されたという報告はなく, ここに報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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