心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
瘤化した心尖部の筋層内に残る僅かな心筋に回路を持つと考えられた, 中部閉塞性肥大型心筋症に生じた持続性心室頻拍の1例
加藤 孝佳上山 剛吉賀 康裕西村 傑文本 朋子大野 誠矢野 雅文清水 昭彦
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_184

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抄録

 症例は77歳男性. 心室頻拍 (VT) に対する加療目的で入院した. 心エコーでは菲薄化を伴う心尖部心室瘤を合併した中部閉塞性肥大型心筋症を呈していた. 左室心内膜マッピングにて瘤内に瘢痕を伴う低電位領域を認めたが遅延電位などの異常電位は認めなかった. VTは誘発されなかったため, ペースマップにてVTの極性に類似した領域へのアブレーションを行った. 約3週間後にVTが再発したため心内膜および心外膜側のマッピングを行った. 心外膜側においても異常電位は認めなかったが瘤の外側からのペーシングはVTの極性に類似し, その対側心内膜側からの高出力ペーシングにて伝導遅延を伴いVTと一致したペースマップを得た. 同領域ではVTの誘発が可能で, concealed entrainmentを呈した. 通電にてVTは停止し, 以後誘発不能となった. 本例は心内膜, 心外膜側いずれも遅延電位などの異常電位は認めず, 瘤内層の僅かな残存心筋を回路としたVTであると考えられた.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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