心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
僧帽弁輪峡部ブロックライン作成の際に興味深い冠静脈電位所見を認めた1症例
田中 宣暁田中 耕史豊島 優子岡 崇史岡田 真人井上 耕一
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_62-S2_69

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抄録

 症例は, 50歳男性. 平成17年より心房細動を指摘. 抗不整脈薬3剤抵抗性であったため, 平成18年カテーテルアブレーション (RFCA) 施行. 肺静脈隔離術, 左房天蓋部線状焼灼, 三尖弁輪−下大静脈線状焼灼, 冠静脈洞焼灼を行った. 心房細動再発のため, 平成20年RFCA 2回目施行. 左房天蓋部, 三尖弁輪−下大静脈の再伝導部位への焼灼, および僧帽弁輪峡部線状焼灼を行った.

 以降は, 抗不整脈薬内服継続していたが, 心房粗動, 心房細動の出現を数回認め, 洞調律化には電気的除細動を要していた.

 平成25年7月から発作頻度増加のため, 同年10月RFCA3回目を行った.

 再伝導を認めた左上, 左下肺静脈を再隔離. 左房天蓋部が再伝導していたため, 再度ブロックラインを構築した.

 僧帽弁輪峡部も再伝導していた. 左心耳からのペーシングで, 冠静脈洞電位, 左房電位が分離され判別できた. 左房内からの通電で左房電位のみがブロックされたのが確認できた. 冠静脈洞電位は冠静脈洞のカテーテル留置部より遠位部で, 左房との連結部が見込まれる部位で通電を行い, 冠静脈電位のブロックラインも作成できた.

 術後, 1年経過時点で, 心房粗動, 心房細動再発を認めていない.

 前回までの焼灼の影響で, 冠静脈洞内の電極にて, 冠静脈洞電位と左房電位が分離して認められた興味深い所見を認めたため, ここに報告する.

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