心臓
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[症例]
経皮的肺静脈隔離術により生じた重症食道熱傷の回復経過を画像評価し保存的加療で改善を得た1例
石破 光咲子岩田 周耕黒嶋 健起井澤 和眞八巻 多酒井 博司芹川 真哉小川 裕二
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2016 年 48 巻 12 号 p. 1383-1388

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抄録

 症例は50歳代男性.発作性心房細動に対するⅠa群薬による薬物療法の効果が不十分となり,拡大肺静脈隔離術(EEPVI)を行った.隔離術には成功したが,術後3日目より食後の胸部灼熱感,38℃台の発熱が出現し,4日目に行った上部消化管内視鏡検査では胸部食道の一部に白色変性が認められた.食道熱傷を起こしていると考え,絶食で経過観察したところ,解熱し胸部症状の改善も得られたが,術後13日目の内視鏡検査では食道熱傷がさらに潰瘍化していた.また,単純胸部CTでは食道外縦隔に空泡が,食道造影CTでは食道外に造影剤の漏出が認められた.縦隔食道瘻と考えられたが,縦隔炎の程度は軽いと思われ,絶食やプロトンポンプインヒビター(PPI)内服,抗生剤点滴などの継続で解熱し,症状も改善が得られた.その後1週間毎に食道造影CTにて経過を追い,術後35日目の食道造影CTで食道外への造影剤の漏出はみられなくなり,内視鏡検査でも食道熱傷の治癒を確認した.食事を再開した後も臨床経過に問題なく,術後61日目に自宅退院した.PVIの合併症である食道潰瘍の治癒過程を詳細に画像評価した症例であり,文献的考察を含め報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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