心臓
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[症例]
腹部大動脈瘤に対するステントグラフトENDURANT®挿入に際しデリバリーシステムが抜去不能となった1例
桝田 幹郎
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2016 年 48 巻 2 号 p. 160-164

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抄録

 解剖学的基準を満たした症例に対してENDURANT®を用いてステントグラフト内挿術を行った. type Ⅰaエンドリークに対してaortic extensionを留置した際デリバリーシステムが抜去不能となり, 開腹手術で抜去した. ENDURANT®はデリバリーシステムが抜去不能となる可能性がある. メーカーの検証では, スープラリーナルステントが開ききらなかったことが考えられると報告された. 中枢ネック中枢端の血管径が留置するステントグラフトの口径に比して狭い症例やアオルタ・エクステンションはスープラリーナルステントが開ききりにくいことを想定しなければならない. またデリバリーシステムが抜去困難となった場合も, ステントを絡ませなければ, グラフト被覆部中枢端をバルーンで拡張後, プルスルーテクニックやバルーン操作でスピンドル部をスープラリーナルステントから浮かせられる可能性もある. さらに血管内操作で解除できない場合にも, 外科的に大動脈瘤の中枢ネックを露出すれば, 直接動脈壁越しにステントグラフト, デリバリーシステムを押すこともできるため, 透視下に引っかかりを解除できる可能性があったと考えた.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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