心臓
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[症例]
大動脈弁狭窄症を合併したsigmoid septumによる左室流出路狭窄に対して,経皮的中隔心筋焼灼術が著効した1例
伊藤 弘将高村 武志海野 航平後藤 至堀口 昌秀刀根 克之坂部 茂俊前野 健一泉 大介世古 哲哉笠井 篤信伊藤 正明
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2017 年 49 巻 11 号 p. 1148-1154

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抄録

 従来,経皮的心室中隔焼灼術(PTSMA)は閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の治療として行われてきた.肥大型心筋症における左室流出路狭窄は約25%にみられ,肥厚した心室中隔の流出路への張り出しと僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)によって形作られている.一方,sigmoid septumは心室中隔が左室腔に向かって突出することにより,心室中隔と大動脈壁との成す角度が鋭角となる状態で,加齢変化に由来するもので臨床的意義がないといわれていた.しかしながら,sigmoid septumにより左室流出路狭窄を生じ労作時息切れや失神などの症状を呈し,HOCMのようにふるまう例があることが報告されてきた.今回,大動脈弁狭窄症を合併するsigmoid septumに対し,適切な圧較差の評価を行うことで症状を呈している原因を左室流出路狭窄と同定し,sigmoid septumに対するPTSMAが著効した症例を経験したので報告する.

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© 2017 公益財団法人 日本心臓財団
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