心臓
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第29回 心臓性急死研究会
肺炎による入院中に2度にわたるVT/VFを繰り返したペースメーカ患者の1症例
相良 優佳百名 洋平菊池 幹芥野 絵里石北 綾子鬼塚 健宮田 健二折口 秀樹毛利 正博山本 英雄
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キーワード: 薬剤性QT延長, 心室細動
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2017 年 49 巻 SUPPL.1 号 p. S1_54-S1_60

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抄録

症例は79歳男性.21 年前に洞不全症候群に対し永久ペースメーカ植込み,20年前に持続性心房細動(徐脈性)となり,VVI設定としていた.また 5年前に下壁心筋梗塞に対しステント留置術を施行されている.今回肺炎のため入院,X線所見から抗菌薬にメシル酸パズフロキサシン(PZFX)を選択した.同日夜間にTorsade de Pointes(TdP),心室頻拍/細動(VT/VF)を繰り返し3度の心肺蘇生(CPR)を要した.抗うつ剤のセルトラリンおよびPZFXによるQT延長が不整脈の誘因と考えられ,同薬剤を中止し,さらにpacing rateを2週間70 ppmから95 ppmに変更しoverdrive pacingを施行した.全身状態は落ち着いたが肺炎は改善せず,入院約2週間後よりMRSAが検出されたためリネゾリド投与を開始した.入院3週間後にセンシング不全が出現しその後R on TからのTdP,VF となり再度CPRを要した.直前の心電図ではQT延長は認めなかった.ペースメーカチェックにてR波の減高が認められたため,感度の変更を行った.肺炎による入院中に2度にわたって致死性不整脈を発症した1例を経験したため報告する.

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© 2017 公益財団法人 日本心臓財団
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