心臓
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[症例]
ワルファリン治療に対する健康食品の影響
竹永 誠
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2018 年 50 巻 2 号 p. 197-202

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抄録

 健康食品の使用が増加している最近の状況では,医療機関からの処方薬と健康食品の相互作用が問題となる.抗凝固薬ワルファリンに対するビタミンK含有食品の影響は一般にも知られているが,健康食品の摂取がビタミンKの関与とは異なり,ワルファリンのチトクロームP450代謝酵素を含む薬物代謝に関係してワルファリンの作用に影響したと思われる複数例を経験した.グルコサミン,飛天ゴールド,レスベラトロールのサプリメント,酢しょうがが抗凝固作用増強に,減糖茶,栄養ドリンクEX3000が抗凝固作用減弱に影響した.本報告例はいずれも臨床的重大度は軽~中度であったが,ワルファリン服用者において健康食品の摂取が出血や血栓症発生に関係した報告もあり,プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)値の急な変化を認めた場合には,健康食品がビタミンK以外の要素で関与する可能性にも留意して評価する必要がある.

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© 2018 公益財団法人 日本心臓財団
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