心臓
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[症例]
十二指腸切除5年後に発症したWernicke-Korsakoff 症候群を伴った脚気心の1例
曽我部 功二河田 正仁小平 睦月加藤 幸範瀧上 雅雄黑田 優松浦 岳司松本 晃典平山 恭孝足立 和正松浦 啓坂本 丞
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2018 年 50 巻 6 号 p. 656-660

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抄録

 症例は56歳男性.来院5年前に十二指腸癌で十二指腸切除を受けていた.見当識障害,両下腿浮腫,歩行障害で脳外科から紹介された.心拍数120/分で胸部X線ではうっ血と胸水を認めた.心エコー図では収縮能の低下は認めなかった.末梢神経障害を認め,脚気心を疑い,血中ビタミン濃度測定提出後,総合ビタミン剤を含んだ点滴を開始した.翌日には下腿浮腫は消失した.長谷川式簡易知能評価スケールは入院時の21点から第4病日には25点に改善した.入院時のビタミンB1は11 ng/mLと低値であった.持参MRIでは両側乳頭体と中脳水道周囲が軽度high intensityを呈した.以上より,十二指腸切除後5年で発症したWernicke-Korsakoff症候群を伴った脚気心と診断した.腸管切除後,同時期にWernicke-Korsakoff症候群と心不全を伴った脚気心の両者を発症した例は稀なため報告する.

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