心臓
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[臨床研究]
地域メディカルコントロール協議会における救急隊の12誘導心電図記録と伝送の実態調査
野々木 宏安田 康晴今井 寛太田 祥一小澤 和弘木下 順弘小林 誠人高階 謙一郎森村 尚登山野上 敬夫山村 仁脇田 佳典横田 順一朗
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2019 年 51 巻 8 号 p. 800-805

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抄録

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の発症から再灌流療法までの時間を短縮するためには,病院前12誘導心電図記録の病院への事前伝達が有効であり,ガイドライン勧告がなされている.ガイドライン勧告の実践がなされているか救急隊による12誘導心電図記録と伝送の実態を把握するため,全国地域メディカルコントロール(MC)協議会251団体へのアンケート調査を実施した.回答率は96%で救急隊による12誘導心電計を搭載しているのは82%と高率であったが,全車両に搭載しているのは28%と低率であった.12誘導心電計を搭載している196団体のうち,電話による病院への事前伝達を行っているのは88%と高率であったが,伝送しているのは27%と低率であった.本アンケート結果から,ガイドライン勧告の実践を実現するためには,12誘導心電計の搭載とともに,地域MC協議会を中心とした救急隊と病院群との連携,プロトコル作成や心電図検証が必要であり,それには救急医とともに循環器医の地域MC協議会への関与が必要であると考えられる.

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© 2019 公益財団法人 日本心臓財団
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