心臓
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[症例]
鈍的心損傷後の慢性期に心タンポナーデを発症し,左室瘤を認めた1例
山屋 昌平朴澤 麻衣子松本 裕樹佐々木 加弥後藤 巖中島 悟史木村 琢己金 一森野 禎浩
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2019 年 51 巻 8 号 p. 816-823

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抄録

 心室瘤はその基礎疾患によっては極めて予後不良の疾患であり,破裂した場合は致死的となるといわれている.心室瘤の原因としては,心筋梗塞によるものが多く報告されてはいるが,心筋挫傷後に伴うものは稀である.今回の症例では,鈍的心損傷後に,一度消失した心嚢液が再度貯留し,慢性期に心タンポナーデを発症した.受傷時に認めた心嚢液は心筋の挫滅に伴う血性心嚢液であったが,慢性期に貯留した心嚢液は,その性状から心筋からの出血に加え,心筋や心膜の炎症によるものと推定された.心筋の瘢痕化に伴い,心尖部左室瘤も併発しており,心室壁も菲薄化していたことから準緊急的に左室形成術を施行した.受傷以降のCTやエコーでの経時的変化からは左室瘤形成,心タンポナーデの発症は予測困難であった1例を経験したため報告する.

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