2019 年 51 巻 8 号 p. 858-863
症例は59歳男性.うっ血性心不全で他院に入院後,検査の結果慢性心房細動と高度の左房拡大による後尖のtetheringを伴う重症僧帽弁・三尖弁閉鎖不全症と診断され,手術治療のため当院入院となり,僧帽弁・三尖弁形成術,左房拡大に対する左房縫縮術に加えて左心耳閉鎖術を施行した.術後僧帽弁・三尖弁逆流なく左房縮小と後尖tetheringの改善を認め,合併症なく14病日に退院した.高度の左房拡大を合併した僧帽弁閉鎖不全症は後尖のtetheringも認められる.左房縫縮術を加えた僧帽弁形成術により生理的弁輪形態に戻すことで良好な逆流制御と遠隔成績が期待できる.