心臓
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[症例]
人工心肺併用下開心術後に肺外結核を発症した2例
油谷 伊佐央中村 翔大中田 明夫廣田 悟志
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2020 年 52 巻 7 号 p. 722-726

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抄録

 症例1は70歳代後半男性.僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁置換術を施行された.約3カ月後に心膜摩擦音を伴う胸痛あり.心エコーにて心嚢水の増悪を認めた.心嚢穿刺にて血性心嚢水を認め,ADA高値であった.細胞診では悪性細胞は検出されず.結核性心膜炎として抗結核薬による加療を開始し,速やかに心嚢水は改善した.

 症例2は70歳代前半男性.虚血性心疾患,心房細動に対して冠動脈バイパス術・肺静脈隔離術・左心耳切除術を施行された.約5カ月後に左胸水の増悪あり,心不全増悪として入院加療を行った.左胸水は漸減したが,経過で右胸水の増悪を認めた.右胸膜生検にて抗酸菌が検出され,結核性胸膜炎と診断した.

 開心術後の肺外結核発症は稀であるが,人工心肺使用は細胞性免疫低下を生じ,結核の発症要因になり得る.術後慢性期に増悪する心嚢水・胸水貯留を認めた場合,結核を念頭に置いて精査することが望ましい.

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