2021 年 53 巻 10 号 p. 1092-1098
症例は74歳,女性.20XX年,発作性上室性頻拍に対するカテーテルアブレーション治療の既往があった.20XX年に入ってから歩行時の呼吸困難を自覚するようになり,近医にて心不全の疑いで当院へ紹介となった.経胸壁心エコー図検査で心房中隔欠損症(肺体血流比2.65),さらにⅢ/Ⅳ度の三尖弁逆流,右室右房間圧較差43.7 mmHgと右心系圧上昇を認めた.心房中隔欠損症に伴う心不全と診断され,外科治療目的で当科に紹介となった.術前精査目的の造影CTで左上大静脈遺残や部分肺静脈還流異常などの先天性胸部静脈奇形は認めなかったが,冠静脈洞型心房中隔欠損症が疑われた.手術は待機的に行った.送血を上行大動脈,脱血を上大静脈,下大静脈とし人工心肺を確立し,順行性に心筋保護液を注入し心停止を得た.まず,肺静脈隔離術を行った.次に右房を切開し冠静脈洞を観察すると,冠静脈洞越しに冠静脈洞欠損孔を確認できた.僧帽弁輪および膜性中隔に注意しながら直接閉鎖した.三尖弁輪縫縮術,右房Maze手術,左心耳閉鎖術を追加し手術を終了した.術後,労作時の呼吸困難は改善し,術後のCTで左房と冠静脈洞との交通は認めず,術後18日目に軽快退院となった.