心臓
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[症例]
アントラサイクリン系薬剤投与後にたこつぼ症候群を発症した1例
古志野 海人岡田 祐介森田 祐介川原 洋香川 雄三佐藤 寛大大内 武渡邊 伸英遠藤 昭博吉富 裕之鈴木 律朗田邊 一明
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2021 年 53 巻 11 号 p. 1223-1229

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抄録

 症例は80歳代女性.甲状腺原発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断でR-CHOP療法加療開始された.1コース終了後,心電図で胸部誘導の陰性T波を認め当科紹介となり,心エコーでは左室心尖部の壁運動異常を認めた.心臓造影CT検査と心臓カテーテル検査では壁運動異常を説明できる冠動脈病変を認めず,たこつぼ症候群(Takotsubo syndrome;TTS)と診断した.さらなる心毒性を避けるためアントラサイクリン系薬剤を抜いたレジメンに変更した.アンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin II receptor遮断薬;ARB)とβ遮断薬内服にて心不全増悪なく経過し,1カ月後には心尖部の壁運動異常は改善した.がん患者はTTSを発症しやすいと報告されており,悪性腫瘍そのものとがん治療による影響が考えられている.アントラサイクリン系薬剤を含むレジメンで治療中にTTSを発症し,治療方針決定に際しがん治療医と循環器内科医が協力することによってTTSの再発を回避しえた1例を報告する.

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