2021 年 53 巻 12 号 p. 1280-1284
心不全は,質的・量的な“骨格筋異常”を伴うことが多く,日常生活動作や生活の質を著しく損なう主原因となっている.臨床研究において,全身の運動持久力の低下や筋萎縮は頻繁に観察されているが,その機序は不明な点が多い.一方で,基礎研究で明らかになった分子機序は臨床研究で確認されることは非常に稀である.本稿では,基礎研究・臨床研究で明らかとなった心不全の骨格筋異常の発症・進展機序とともに,新規・既存薬剤による治療法や評価方法の候補について概説する.