心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
[症例]
一般市民によるAED使用で心肺蘇生に成功し緊急経皮的冠動脈形成術を施行して後遺症なく退院できた急性心筋梗塞の1例
桑原 昌則古野 貴志西村 拓哉吉本 光広北岡 裕章
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 53 巻 12 号 p. 1342-1348

詳細
抄録

 症例は54歳男性.役場の職員で,右視床ラクナ梗塞,脂質異常症,高尿酸血症などで近医通院中であった.昼休み中に突然,胸痛を訴えて,その場に倒れこみ心肺停止状態となった.すぐに同僚の職員がAEDを使用し心肺蘇生に成功した.

 当院へ救急搬送時は意識レベル清明,血圧144/100 mmHg,脈拍数103/分であり,心電図,心エコー検査等より,急性心筋梗塞と診断した.緊急冠動脈造影検査を行ったところ,左冠動脈前下行枝#6に99%狭窄を認め,引き続き同部位に対して経皮的冠動脈形成術を施行した.当院搬送後は,術中術後とも心室細動を起こすことなく経過し,10日間の入院期間中も,致死的不整脈は起こさず,後遺症なく独歩退院した.バイスタンダーの一般市民による迅速なAED使用により,後遺症なく救命できた症例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2021 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top