心臓
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[症例]
卵巣腫瘍摘出とヘパリン投与が奏功した非細菌性血栓性心内膜炎の1例
笠原 峻也高野 俊樹石塚 光夫久保田 直樹大久保 健志木村 新平保屋野 真柳川 貴央柏村 健尾崎 和幸南野 徹
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2021 年 53 巻 9 号 p. 998-1004

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抄録

 症例は54歳女性.20XX年4月,左半側空間無視と左片麻痺を主訴に前医へ救急搬送された.入院後の造影CTとMRI/MRA検査で右内頸動脈起始部閉塞による脳梗塞と深部静脈血栓症(DVT),粘液性卵巣癌を認めた.経胸壁心エコー(TTE)と経食道心エコー(TEE)では心腔内血栓を指摘できなかったが,心原性脳梗塞・奇異性脳塞栓の可能性が否定できず,直接経口抗凝固薬(DOAC)内服が開始された.この際に指摘された卵巣癌に対して7月,当院で卵巣摘出術を施行した.血栓イベント高リスクであるため,術中TEEを施行し,僧帽弁前尖および後尖に10 mm程度の可動性を有する構造物を認めた.形態より感染性心内膜炎を疑い抗生剤投与を開始したが複数回にわたる血液培養はすべて陰性であり感染徴候を示唆する臨床所見も認めなかった.疣腫の外科的切除も検討したが,非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)の可能性を考慮してヘパリンの投与を施行した.1週間後のTEEでは疣腫の縮小を認め,2週間後のTTEでは疣腫の消失を確認しNBTEと診断した.NBTEは悪性腫瘍などを基礎疾患に持ち,無菌性の血栓が弁膜に付着する.悪性腫瘍合併の疣腫ではNBTEの可能性を考慮する必要がある.

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