2024 年 56 巻 11 号 p. 1080-1084
症例は67歳男性.中学生の頃に心肥大を指摘され,その後は拡張相肥大型心筋症として当院に通院していた.心保護薬の導入や両心室ペーシング機能付き植込型除細動器の植込みも行い,外来にて比較的安定した経過であったが,倦怠感,食欲低下を訴えて受診され,低心拍出量症候群として入院となった.短期間で入退院を繰り返し,強心薬離脱が困難な状態と判断した.当院は植込型補助人工心臓(VAD)管理施設ではなく,またこの当時はDestination Therapy(DT)実施施設も日本国内でわずか7施設のみであったため,DTとしてのVAD植込みというのは物理的にも心理的にもハードルが高かった.また右心カテーテル検査の結果では肺血管抵抗が高値であり,術後に右心不全によりVAD管理に難渋することも懸念されたが,DT実施施設と検討し,最終的にはDTを選択した.県外のVAD実施施設に転院し,無事手術や指導を経て自宅退院となった.2021年4月30日より本邦でもDTが保険適用となり,2023年7月からDT実施施設が7施設から19施設に拡大している.今後より多くの症例にてDTを検討していく必要があるが,課題も多い.VAD非管理施設の立場から考察する.