2024 年 56 巻 8 号 p. 842-846
S状結腸穿通に続発した人工血管感染に対し人工血管抜去・非解剖学的バイパス術により救命しえた症例を経験した.
症例は80歳男性,腹部大動脈高位閉塞に対し大動脈─両総大腿動脈バイパスを施行後,当院循環器内科でフォローされていた.熱発を認めたため施行した腹部造影CTにて人工血管周囲にガス像を認めた.またガス像近傍に周囲脂肪の炎症を伴ったS状結腸も認めたため,S状結腸穿通に伴う腹部人工血管感染と診断し,人工血管抜去および右腋窩─両総大腿動脈バイパスを施行した.今回S状結腸穿通による人工血管感染という比較的稀な症例を経験したので報告する.