心臓
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臨床 WPW症候群とEbstein病の合併例に対する同時的根治手術
とくに複副刺激伝導路の切断について
岩 喬土屋 和弘飯田 茂穂飯田 善郎三崎 拓郎渡辺 洋宇森 清男
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1979 年 11 巻 4 号 p. 375-382

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抄録
Ebstein 病とWolff-Parknson-White症候群はしばしば合併し,互いにその症状を悪化させることが多い.そのような場合には,この両疾患を一期的根治手術により治療すべきであり.その1症例を経験した.症例は15歳の男子で,ほとんど常時頻拍を伴い,著明な心不全状態にあった. この症例は2本の複副伝導路を有しており,心表面電位図所見からまず右室後中隔の1本を切断した後,右室を電気刺激し心房への逆行性刺激の最早期到達部位を見出し,2本目の副伝導路を前中隔の房室境界部において切断したEbstein 病に対しては,強く変形した三尖弁を全切除し,異種心臓弁で置換した,同時に心房化心室を真正輪に縫寄せ,縮少した.心電図は正常化し,4波は消失,頻拍発作は術後1年半1度も起こっていない.心陰影は著明に縮少し, 通常の学生生活(NYHA I度)を営んでいる.
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