抄録
雑種成犬15頭(17-22kg)を用い期外収縮法により誘発される心房性不整脈の発生機序を検討した.カテーテルおよびプラソジ型双極電極を用いて右房上部,右房下部,Bachmann束,左房上部および左房下部の各領域から電位記録を行った,これらの電位記録から判断される心房内興奮伝導様式ならびに最も早期の興奮部位からリエントリーの局在は可能であった.期外収縮刺激に伴い心房局所に著しい伝導遅延,電位の幅広い分裂あるいは不規則な連続性のスパイクが出現したときのみに,頻拍症を含む心房性不整脈の発生がみられた.不規則な連続性のスパイクが不整脈の第1拍まで連続し,さらに不整脈の持続中にも引ぎ続き観察されたことより,心房内局所リエソトリーの存在を強く示唆すると考えられた.