症例 成人における総肺静脈還流異常症の根治手術治験
1979 年 11 巻 8 号 p. 819-823
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1979 年 11 巻 8 号 p. 819-823
総肺静脈還流異常症は,生後早期に呼吸不全,右心不全などの症状を呈し,早期に外科治療を要する疾患であり,成人での根治手術報告例はきわめて少ない.われわれは最近,本邦における根治手術成功例の最年長者と思われる症例を経験した.症例は,47歳男性,主訴は動悸,易疲労感.入院時口唇および手指爪にチアノーゼを認め,上下肢に太鼓擁状指趾を認めた,聴診上,胸骨左縁第2肋間に比較的柔らかいに収縮期雑音,II音肺動脈成分充進.心電図は電気軸+107°および不完全右脚ブロックを認めた.肺動脈造影にて左腕頭静1脈還流型総肺静脈還流異常症と診断し,心房横断法による,いわゆるGersony-Malm法により根治手術を行った.術後経過は良好であり,術後の心臓カテーテル所見からも満足すべき結果をえており,2 - 3の文献的考察を加え報告した.
