心臓
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臨床 Echocardiographyによる新生児の左心機能に関する検討
青木 浩之宝田 正志後藤 彰子
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1979 年 11 巻 9 号 p. 931-941

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抄録

Echocardiography(UCG)により,未熟児成熟児の左心機能が生下時の胎児循環から新生児循環への生理的循環動態変化に伴っていかに変化するかを検討し,以下の主要結果を得た.(1)UCGにより未熟児新生児の左心機能分析が可能であると思われた.(2) 新生児の生理的循環動態変化に伴う左心機能変化を示す指標としては,平均左室周囲短縮速度(mVcf),および左室後壁平均収縮速度(PWV) を normalized した NPWV の変動が最も大きく,ついで駆出率(EF),心室駆出前期/心室駆出時間比(PEP/ET ratio)の順であった. (3) 心拍出量(CO)は生直後の左心機能変化との相関は少ないと思われ,むしろ当然のことながら体重との相関が高かった.(4) 以上より判定した成熟新生児の左心機能は,生後の10数時間で最も低下し,その後急速に改善するが1ヵ月時は成人に比しなお軽度の低下が存在すると思われた. (5) 未熟児の左心機能は成熟児に比し日齢30まで全体に軽度の低下が疑われ,以後は成熟児のレベルにまで改善すると考えられた.

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