心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 急性心筋梗塞症における血行動態とニトログリセリン静注法による血管拡張剤療法(第2報)
心室中隔穿孔合併例について
廣江 道昭関口 守衛廣沢 弘七郎遠藤 真弘林 久恵小原 邦義
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 12 巻 8 号 p. 818-826

詳細
抄録
心室中隔穿孔を合併した急性心筋梗塞5例において臨床所見,特に心電図と壷行動態とを比較検討した結果,完全右脚ブロックと左軸偏位を呈した群は1回心仕事係数が20g・M/beat/m2以下を呈し,予後は不良であった.
左→右短絡量は生存群では治療により減少したが,死亡群では治療にもかかわらず増加する傾向を示した.急性期の治療として静注用Nitroglycerin(TNG)またはDopamineとの併用による血管拡張剤療法を施行し,その有用性を検討した.両治療法により左室充満圧,肺血管・末梢血管抵抗は著明に低下,心係数と1回心仕事係数は増加し,静注用TNGは左→右短絡量を減少し得た.
以上の成績より,本症は両室のポンプ失調,肺高血圧症などを呈し,予後不良であるが,血管拡張剤療法は前,後負荷の軽減,左→右短絡量の減少とともに心機能の改善などをもたらし,有用であった.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top