1981 年 13 巻 12 号 p. 1542-1549
われわれは末端肥大症に合併した心不全の1症例を,成長ホルモン分泌抑制薬,ブロモクリプチンで治療を試み,この間血中成長ホルモン測定,心エコー図,必臓カテーテル検査にて経過を追うことができたので報告する.著明な臨床症状,胸部写真の改善にもかかわらず,成長ホルモンは長期高値を示した.心エコー図の経過では僧帽弁の振幅,拡張期後退速度,左房径の改善がみられたが,左室径の拡大は改善されず,駆出分画はかえって低下した.心臓カテーテル検査では,心内圧の改善がみられたが,やはり駆出分画は低下した.心筋生検所見では,心筋の肥大,核の変性,心筋線維の配列の乱れ,間質結合織の増殖がみられた.