心臓
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症例 Hancock弁(僧帽弁位置)に疣贅を伴った感染性心内膜炎の1例
疣贅検出に断層エコー法が有用であった例
松下 重人池田 孝之久保田 幸次村上 哲夫北村 隆堀川 清弘広正 修一伊藤 誠高田 重男土屋 和弘岩 喬
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1982 年 14 巻 12 号 p. 1507-1512

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抄録
Hancock弁( 僧帽弁位置) に疣贅を伴った感染性心内膜炎の1例を経験し,その疣贅検出に心断層エコーが有用であったので報告する.症例は31歳の女性で, 2 4 歳の時にリウマチ性僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症のために Hancock弁による僧帽弁置換術を受けた. 弁置換後6年9カ月に発熱, 血液培養によりα-連鎖球菌を検出し, 感染性心内膜炎と診断された.Mモード心エコーでは, Hancock弁尖の肥厚硬化,多層所見がみられたが, massエコーは検出できなかった.一方, 心断層エコーでは弁尖に付着したmassエコーが検出され,同エコーは疣贅によるものと思われた.手術時所見は心断層エコー所見と一致し,左室側に付着した疣贅と弁尖の変性肥厚がみられた. 感染性心内膜炎の疣贅検出には,心断層エコーはMモード心エコーに比べて有用であり,特に人工弁では,この疣贅の検出に高率を示すとされており,本症例もこれを支持するものであった.
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