抄録
われわれの経験したペースメーカー植え込み202例中幼小児例は6 例あり, 年齢は6カ月-11歳, 先天性完全房室ブロック4例,開心術後徐脈2例である.初期の症例で1例は原因不明の早期死,1例は感染症で晩期死したが, 最近の4 例は5-21カ月の追跡中経過良好で全例NYHAはI度である.
本論文においては症例を紹介し,幼小児ペースメーカー植え込みの問題点につき検討した.幼小児は植え込みスペースが小さく皮下脂肪が少ないこと,運動が激しくまた,急速な成長過程にあること,交換回数が多くなることなど考慮すべき点が多い.このような観点から捻じ込み式心外膜電極とプログラマブルタイプジェネレーターを使用し,充分な視野を得て電極定を確実になしうる開胸法を採用した.年長児には前胸壁か前腹壁に,乳幼児には腹筋下腹膜外か肋骨下胸膜骨膜外にジェネレータ埋没部位を選択するのが現時点では最良の方法と考えられた.