心臓
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症例 多発性筋炎に伴う二次性心筋疾患の1例
下野 恒柿木 滋夫坂本 三哉安田 寿一岡田 了三
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1984 年 16 巻 6 号 p. 630-635

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抄録
多発性筋炎に拡張型心筋症様の所見を合併した1例に心筋生検を施行した.症例は57歳男性,労作時の息切れ・動悸を訴えて近医受診.心不全症状は軽快したが,重篤な不整脈が頻発するため当科入院となる. CPK 570IU/lと高値, 胸部写真で CTR 54%,肺うっ血認めない.心電図は左軸偏位,心室性頻拍,多源性心室性期外収縮,心房細動,上室性頻拍および異常Q波を呈し,UCGで左室の拡大およびhypokinesisを示した.骨格筋生検で慢性ミオパチーと炎症所見を認め,多発性筋炎と診断された.心筋生検では,筋細胞の配列の乱れ,心内膜および心内膜下結合織内の出血,間質うっ血などの所見が得られた.本例は,多発性筋炎に伴う二次性心筋疾患と考えられ,副腎皮質ステロイド剤投与によりCPKは著明に低下し,抗不整脈薬の投与で症状は改善した.
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