心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 三尖弁中隔尖に疣贅を検出した心室中隔欠損,肺動脈漏斗部狭窄の1例
疣贅の心エコー図所見と三尖弁疣贅発生機序に関する考察
竹田 幸一大場 秀一岩倉 治男高橋 禮介友松 栄二林 輝美山本 英雄八木 繁
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 17 巻 1 号 p. 40-46

詳細
抄録
症例は29歳女性で,基礎疾患として心室中隔欠損(VSD),肺動脈漏斗部狭窄があり,抜歯を契機としてα-Streptococcusによる心内膜炎を発症し,ペニシリン-G大量投与で治癒した、感染性心内膜炎(IE)により発生する三尖弁(TV)疣贅を,心エコー図で検出した報告は少なく,本邦においては8例をみるのみであった.疣贅のMモード心エコー図所見としてDillonらは, 疣贅はshaggyエコーを示すと報告した.本例は疣贅が多重エコーを示したことから, 疣贅はs haggyエコーだけでなく多重エコーを示すこともあり得ると考えた.TV疣贅発生機序に関しては従来Edwardsら,Rodbardらの説がある.本例は左右心室圧較差が少なく,VSDの左→右(L→R)shunt血流が相対的に低速であり,TV疣贅発生を両者の説で説明することは困難であった.よって本例では,低速ではあるがVSDのL→R血流のためTV中隔尖下面ないし弁尖周囲に発生した渦流や乱流により,TVに疣贅が発生したものと推測された.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top