抄録
肥大型心筋症20例と健常成人21例を対象とし,目標心拍数120拍/分の臥位ergometer運動前後の左室流入血流速波形を超音波断層併用パルス・ドプラ法を用いて記録し,左室拡張動態を検討した.
安静時には健常人に比しHCM患者では急速流入の低下はみられたが,左房収縮による流入に差異はみられなかった.運動終了後1分において,健常人では急速流入および左房収縮による流入は平行して増大したのに対し,HCM患者では急速流入の増加に乏しく,代償性と考えられる左房収縮の著しい増大がみられた.運動負荷ドプラ心エコー法は,HCM患者の左室拡張動態を評価する上で有用な非観血的検査法と考えられた.