心臓
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研究 梗塞後心破裂の破裂様式に関する病理
Becker分類に基づいて
植田 初江由谷 親夫
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キーワード: 心筋梗塞, 心破裂
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1987 年 19 巻 8 号 p. 952-959

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抄録

国立循環器病センターにおいて1978年から1985年までの8年間の全剖検数1,100例のうち急性心筋梗塞後心破裂(左室自由壁破裂)は15例であった.これら15例について病理学的および疫学的検討を行った.その結果,(1)心筋梗塞発症から心破裂までの経過時間分布は2峰性を示した.すなわち心破裂の好発時期は梗塞後2日以内と5-8日目の2つのピークを認めた.(2)この2つの異なる破裂時期のピークは破裂の肉眼的形式とも対応が認められた.破裂形式はBeckerの分類に基づいて行ったが,I型はすべて1日目,2日目の破裂例で,梗塞後5-7日の破裂例はすべてII型であった.8日以降15日までの破裂例はIII型を示した.(3)象た破裂例の梗塞巣の大きさについては,平均面積は約30%であるが分布は15%から70%と症例により様々であり,破裂と梗塞巣の大きさの関連は認められなかった.(4)危険因子に高齢者しかも女性があげられ,さらに高血圧の既往が高率に認められた.よって梗塞後心破裂は,心筋梗塞自体の性状よりもむしろ,梗塞前の心筋の状態によって決まるのではないかと推察した.

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