心臓
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研究会 第21回 河口湖心臓討論会 心肥大の成因 肥大型心筋症およびSHR培養心筋のアドレナリン受容体機能
古賀 義則戸嶋 裕徳
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1988 年 20 巻 3 号 p. 362-378

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抄録

肥大型心筋症(HCM)の発症におけるアドレナリン受容体の役割を解明する目的で,epinephrine(E),norepinephrine(NE)に対する反応性を年齢・性をマッチした健常対照群と比較した.E負荷試験ではHCM患者で左心収縮能増加反応,拡張期血圧低下反応の充進がみられた.一方NE負荷試験では平均血圧,末槍血管低抗および左心収縮能の増加反応がHCM患者で有意に強く,本症では心血管系のα,β 受容体機能が充進しているものと推測された.しかしHCM患者の安静時・運動中の血中NEレベルには対照群と差は見られず,交感神経活性よりもアドレナリン受容体機能の充進が本症の異常肥大の発現に関与していることが示唆された.
高血圧発症前に心肥大がみられ,その素因を有すると考えられるSHR新生仔培養心筋のNEに対する反応性の検討では,WKYと比較して有意に強い拍動数,蛋白量,核径の増加反応がみられ,SHR心筋細胞は先天的な肥大素因を有するものと推測された.そしてSHRではNE刺激によるc-AMPの上昇反応の充進,α 1受容体の増加がみられ,アドレナリン受容体機能の充進が肥大素因と関連しているものと考えられた.
以上のようにHCM,SHR共にアドレナリン受容体機能の充進が推測され,これが心肥大に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.

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