心臓
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臨床 左室・右房交通症10例の治療経験
湯田 敏行森下 靖雄上原 景光福田 茂梅林 雄介有川 和宏平 明
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1989 年 21 巻 5 号 p. 574-579

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抄録
比較的まれな疾患とされている左室・右房交通症の10手術症例を経験した.術前に本症の診断をなしえたのは半数の5例で,凌例で心室中隔欠損症(VSD),1例で心内膜床欠損症(ECD)またはVSDの診断であった.手術所見は弁上型1例,弁下型9例で,後者での三尖弁中隔尖の変化は穿孔7例,裂隙2例であった.弁上型ではVSD,重複僧帽弁口を合併していた.全例欠損孔を直接縫合閉鎖し,三尖弁閉鎖不全を合併した症例で三尖弁置換術を,また細菌性心内膜炎を合併した症例には大動脈弁および三尖弁置換術も併せ行った.Eisenmenger化していた1歳4カ月の症例のみを失った.本症の診断は必ずしも容易でなく,右心カテーテル,左室造影および心エコー検査などを含めた総合的な判断が必要である.
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