心臓
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臨床 糖尿病患者の24時間Holter心電図における心拍数および,その日内変動の異常性に関する検討
磯本 正二郎谷川 宗生山田 祐子山近 史郎上田 康雄鹿谷 隆朗青井 渉
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1989 年 21 巻 7 号 p. 825-829

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抄録
糖尿病患者(DM群n=19)において24時間Hol-ter心電図を用いて,総心拍数(THB),最低心拍数(minHR),日内変動について罹病期間〔自律神経障害が出現すると予想される年数により,罹病期間を8年以下(n=8)と9年以上(n=11)の2群に分け〕との関連について検討し,以下の結果を得た.
1)THBはDM群で99,999±11,952拍,性,年齢をマッチさせた対照群で92,938±7,400拍であり,DM群の方が有意に多かった(P<0.05).2)minHRはDM群で54.1±8.0拍/分,対照群で47.1±4.9拍/分であり,DM群の方が有意に多かった(P<0.01).罹病期間8年以下ではminHRは50拍/分未満のことが多く,9年以上では50拍/分以上のことが多かった.3)心拍数日内変動の指標として昼問4時間心拍数と夜間安静時4時間心拍数との差(PM-AM4hrHR)を罹病期間との関係で検討すると,罹病期間9年以上の群は罹病期間8年以下の群に比し有意に低値を示し(p<0.05),心拍数の日内変動の減少を認めた.夜間最低心拍数は迷走神経の活性を反映することから,夜間最低心拍数の高値は迷走神経障害を示唆し,DMの罹病期間の長い症例ほど,夜間最低心拍数の高値,および,日内変動の減弱を示したことは自律神経障害によるものと考えられた.
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