1990 年 22 巻 1 号 p. 101-109
経皮的冠動脈形成術(PTCA)の治療効果判定について201TI運動負荷心筋SPECTおよび99mTcRNV等の核医学的評価法を用い検討をし,同時にPTCAの有用性について検討を行った.
55病変を対象にした201T1運動負荷心筋SPECTによる再狭窄の検出率はsensitivity85%,speci・丘city88%であった.このうち,偽陽性3病変,偽陰性2病変はいずれも実際には運動負荷による虚血の有無を反映していると考えられ,臨床上問題となるものは偽陽性2病変にすぎなかった.また,逆再分布現象は軽度の心筋障害が存在する部位に十分な冠血流量が得られた場合に出現し,逆に再分布現象が存在すれば再狭窄はないと考えられた.
34病変を対象とした運動負荷RNVにおける局所壁運動による検討では再狭窄の検出率はsensitivity80%,specificity92%でありSPECTと同様の良好な結果が得られ,臨床上問題となるのは偽陰性1病変にすぎなかった, また,運動負荷時のLVEF・LVESV・SBP/LVESVの変化は再狭窄例と非再狭窄例の間に有意な差が存在し,再狭窄の判定に有用であると考えられた.
安静時RNVによるPTCA前後の心機能の検討では,PTCA成功後に左室拡張能の指標であるTPFRの有意な改善が認められた.以上より,核医学的評価法によりPTCA後の再狭窄はかなりの頻度で予測し得るものと考えられた.