1990 年 22 巻 1 号 p. 85-93
負荷心筋シンチ(ES)のみではviableな心筋を過小評価するとされ,ES24時間後像,安静時心筋シンチ(RS)の追加の有用性が報告されている、我々はES終了後,37MBqの201-T1をreinjectionし得られた画像(REINJ)を別の日に施行したRSと対比検討した.対象は急性心筋梗塞症(AMI)19例,梗塞後狭心症を有する陳旧性心筋梗塞症(OMI)6例,狭心症(AP)6例である.画像解析は視覚的評価法(VI)と極座標表示(BE)からの定量評価を行った.ES初期像(EI),遅延像(ED),REINJ, RS初期像(RI),遅延像(RD)の各々について,VIは短軸,垂直断層像から20 segmentに心筋を分割しscore化した。BEでは,正常者より求めたmean±2SDよりextentscOre(ES),sevirityscore(SS)を算出し,虚血の改善度の指標としてED,REINJ,RI,RDのscoreをEIで除して%ES,%SSとした.VIではAMIのsegmentはOMI,APのそれに比して明らかにREINJ,RSの有用例が多かった.BEではAMIの%ES,%SSは各々EI,ED,REINJ,RI,RDで%ES79.5±24.9,66.4±21.7,50。7±29,0,54.3±26.1,%SSでは57.0±24.9,34.5±20.1,21.2±16.9,26.8±19。3とREINJ,RI,RDでEDに比して有意に改善した.OMI,APでは有意差はなく,EDでの%SSはAPで14.4±133,0MIで26.6±15.1と小さくREINJ,RSの有用例は少なかった.AMIの場合,ESのみではviableな心筋を過小評価しており,REINJはRSに代わる簡便かつ有用な手段である.