心臓
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研究 無脾症候群にみられる単心室の刺激伝導系
山田 幸雄梶田 昭康井 制洋
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1990 年 22 巻 8 号 p. 879-888

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抄録

無脾症候群にみられる単心室の刺激伝導系の検索を行った.症例は痕跡的左室を伴う右室性単心室5例,痕跡的左室を伴わない右室性単心室2例,左室性単心室2例であった.上大静脈が1本しか結合しない症例も含め全例に左右の心房内にcristater.Ininalisがあり,これに接して洞房結節も全例に2個認め,無脾症候群には2個の洞房結節が存在することが明らかとなった.房室結節は多くは複数個みられ細長い桿状の形態で房室弁輪を取り巻いて分布していた.房室束は全例ともこの房室結節の途中から分岐するという異様な形態を示した.右室性単心室では房室束を分岐する房室結節の始まりは後方の下大静脈流入部近くの房室弁輪にあった.左室性単心室では側方,あるいは前方の房室結節から房室束は分岐していた.9例中5例で前方と後方の結節はslingにより連絡していた.このsling内を刺激は前方のあるいは後方の結節から伝わる2つの伝導路系が存在する可能性が考えられた.心室逆位が存在しても左右の脚はそれぞれの心室に存在した.右室性単心室では良く発達した右脚と,痕跡的左室のある症例ではその左室に比べ不釣合いに発達した左脚を認めた.この左脚は顕微鏡的左室にも存在していた.左室性単心室では右脚的な分岐角度とやや狭い範囲に分布する左脚と,1例ではさらに左脚的な角度で分岐する右脚の分妓部のみを認めた.

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