心臓
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臨床 冠攣縮性狭心症におけるisosorbide dinitrateの冠動脈拡張作用と冠トーヌスの検討
星尾 彰澤田 喜博福木 昌治荻野 和秀山崎 純一都田 裕之小竹 寛真柴 裕人笠原 尚遠藤 哲
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1991 年 23 巻 5 号 p. 505-511

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抄録
冠攣縮性狭心症(以下VSA)の有無によるisosorbidedinitrate(以下ISDN)注射薬の冠動脈拡張作用と冠トーヌスの程度の違いを検討するため,有意狭窄のないVSA群23例と虚血性心疾患を認めない対照群23例においてergonovinemaleate(以下EM)およびISDN投与による冠動脈の反応を各症例ごと10カ所で定量化した.両群とも全測定部位でEMにより有意に縮小,ISDNにより有意に拡張し,これらに対する反応は,ともに対照群に比し,VSA群が有意に大であった.冠動脈径は,VSA群が対照群よりコントロールおよびEM投与後で有意に小,ISDN投与後では有意差を認めなかった.EM投与後からのISDNによる反応は,VSA群ではスパスムの寛解のみならず,スパスムの生じなかった部位においても対照群より有意に大であった.これはISDN注射薬により最大限に冠動脈が拡張したためと考えられ,ISDN注射薬の有用性とVSAの有無により冠トーヌスの程度の異なることが示唆された.さらにスパスム部位のEMによる反応は著明であり,ISDNによる反応も大であったが,スパスムを生じなかった冠動脈においても,対照群よりEMおよびISDNに対する反応は有意に大であった.この結果よりVSAでは冠動脈全体が血管収縮因子に感受性が高いため病的に充進した冠トーヌスを獲得していると考えられ,ISDNによる冠動脈の反応の検討はVSAの診断に有用と思われた.
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