心臓
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臨床 心筋梗塞二次予防における冠危険因子の意義
初回梗塞-枝病変例の長期追跡調査による検討
高木 洋下村 克朗佐藤 磐男鎌倉 史郎笠松 謙深見 健二土師 一夫寺尾 敦史小西 正光
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1992 年 24 巻 6 号 p. 675-680

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抄録

既に発症した心筋梗塞(MI)患者の冠動脈硬化進展(再発)に及ぼす冠危険因子(RF)の影響はいまだ明らかでない.そこで,MIの二次予防におけるRFの意義解明のために,初回の急性MIで入院し冠動脈造影で1枝のみに狭窄(≧75%)を認めた107例(男98,女9例,平均53歳)の予後とMI前と後のRF(喫煙歴,高血圧,高コレステロール(TC)血症,糖尿病,肥満)を追跡調査し,MIの前後の各RFが発症後の冠動脈硬化進展に及ぼす影響を単変量,および多変量解析を用いて検討した.
【結果】平均7±3年の追跡期間中,27例(25%)に心事故が発生した.そのうち22例が冠動脈硬化の進展が明らかであった再発例(5±3年後,再梗塞15例,狭心症の再発・増悪7例)であり,うち17例が多枝病変への進行例であった.再発の有無で諸因子を比較すると,再発例のMI後の喫煙率(50vs24%)が高率(p<0.05)であったが,他の因子に差はなかった.性,年齢,MI前のRFの単変量による累積再発率に差はなかったが,MI後のRFについては,喫煙継続30例で高率で(p=0.03),高TC血症7例(≧250mg/dl)でも高い傾向を示した(p<0.06).多変量解析では,MI後の再発危険因子としては発症後の高TC血症が,初回MI時に有した危険因子改善の有無については喫煙の継続が,再発の独立因子であった(p<0.05,0.05)
【結論】一枝病変初回梗塞例の発症後の喫煙継続と高コレステロール血症は,梗塞後も冠動脈硬化進展の促進因子であり,二次予防上それらの是正は重要と考えられた.

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