再灌流後の心筋障害の進展においてはオキシラジカルの過剰生成が病態代謝の一重要側面を形成しうる.オキシラジカルの産生源としては,少なくとも心筋細胞,血管内皮細胞,好中球の三者が関与し,これらが複雑に連動して微小循環の恒常性を破綻させるとともに直接心筋細胞膜を攻撃し,不可逆性障害への進行を促す.ラジカル生成の主たるトリガー機構は不明の点を残すが,これに続くアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝は,ラジカル連鎖反応の一環として重要な役割を演じると考えられる.オキシラジカルの主標的分子(膜機能蛋白質,細胞骨格など)を究明すること,さらには,上記の実験的知見を臨床病態にフィードバックしていくことが今後の課題である.