心臓
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研究 小児の心筋疾患における心房性ナトリウム利尿ペプチドの免疫組織学的検討
西川 俊郎田中 正人川井 三恵安藤 明子笠島 武成瀬 光栄成瀬 清子永田 まこと堀江 俊伸中沢 誠門間 和夫廣江 道昭
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キーワード: 小児心筋疾患, 心室心筋
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1992 年 24 巻 8 号 p. 908-913

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抄録

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は種々の心疾患で分泌量が増し,特に心室における増加が注目されている.我々は小児の心筋疾患および心内膜心筋疾患の心室筋におけるANPの存在および分布について免疫組織学的に検討した.対象は病理剖検例の拡張型心筋症7例,心内膜線維弾性症14例の計21例と,非心疾患対照例25例である.各症例の心室筋のパラフィン包埋切片を抗ANP抗体を用いて免疫染色を行った結果,拡張型心筋症の5/7(71%),心内膜線維弾性症10/14(71%)にANP陽性心筋を認めた.対照例25例はすべて陰性であった.ANP陽性細胞は左室心筋に認められ心内膜側に多く分布していた.一部の症例では右室心筋にも観察された.ANP陽性例の左室容積係数(正常心との比)は5.4±1.4で,陰性例の4.1±0.9に比べて有意に大きかった.陽性心筋細胞の横径は陰性細胞に比べると大きいことが示された.心室筋におけるANPの発現は,高度の心室拡張および心筋細胞に対する負荷の増大に関連があることが推測された.

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