1993 年 25 巻 2 号 p. 207-210
心筋のATP感受性Kチャネルは,骨格筋・膵臓β細胞などのものとその性質は類似する.このチャネルはKチャネル開口薬により活性化され,その作用はburstの開口時間延長,burst間の閉口時間短縮による開口確率の増加がもたらされる.このチャネルは細胞内ATP濃度の増加により活性が抑制されるが,ATP-free液下では最大に活性化されやがて時間とともに消失するrun-downを生じる.このrun-downとその後の再活性化にはATPリン酸化が関与するとされているが,リン酸化抑制酵素やフォスファターゼの無効なこと,ATPγSの効果がないこと,などより,ATPの加水分解が関与すると考えられた.蛋白分解酵素のトリプシン処理はチャネルのrun-downを抑制し,その標的部位はATP結合チャネル抑制部位やチャネルの孔とは離れた蛋白のC末端側にあると考えられた.