1994 年 26 巻 1 号 p. 84-89
アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)は,気管支喘息,好酸球増多,全身性の血管炎をTriasとする症候群であり,急速に進行する全身性の血管炎により致死的病状を呈するため,早期診断,治療が必要とされている.また心症状の合併率は高く,その出現は予後を大きく決定するとされている.今回我々は,不整脈,心不全など心症状を認めたAGAの症例に心臓カテーテル検査を施行.冠動脈造影にては軽度の壁不整を認めるのみであったが,左室造影ではび漫性の著明な壁運動低下を認めた.しかし心筋生検では,心筋間質および小血管周囲への好酸球を含む炎症細胞の浸潤を認め,間質は著明な線維化変性をきたしていたことより,本例の心機能障害の機序としてAGAを基礎とした好酸球の浸潤による直接の障害が示唆された.