心臓
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2家系の同胞に認めた冠攣縮および冠攣縮性狭心症
冠攣縮における遺伝因子の関与
堀本 和志竹中 孝五十嵐 慶一藤原 正文会沢 佳昭脇坂 明美
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1994 年 26 巻 3 号 p. 227-232

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抄録

家族内発症の冠攣縮性狭心症の報告は数少なく,冠攣縮に遺伝因子が関与するか否かについては定かではない.我々は2家系の同胞に冠攣縮および冠攣縮性狭心症を認め,そのHLA typingについて検討したので報告する.1例目は54歳の男性でAcetylcholine(ACh)負荷にて左前下行枝の攣縮を認めた.2例目は1例目の妹で50歳,弁置換術後に狭心痛が出現し,ACh負荷にて左前下行枝の攣縮をみた.3例目は64歳の男性で,ACh負荷にて左右冠動脈に攣縮を認めた.4例目は3例目の兄で70歳,左回旋枝の器質冠閉塞による切迫心筋梗塞で入院したが,慢性期のACh負荷にて右冠動脈に攣縮を認めた.以上4名のHLA typingにてA26,B39,Cw7,DR52の抗原が一致したことから,家族発生の冠攣縮性狭心症および冠攣縮に遺伝因子の関与する可能性が示唆された.

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