心臓
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症例 拡張型心筋症と肥大型心筋症が混在し,HLA haplotypeの関連が認められた家族性心筋症の1家系
高野 諭鷲塚 隆古寺 邦夫大倉 裕二早津 邦広関谷 政雄
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1994 年 26 巻 3 号 p. 288-292

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抄録

家族性心筋症の兄弟間に肥大型,拡張型心筋症の混在する1家系を経験した.症例1は45歳男性で,安静時に最大88mmHgの左室流出路圧較差を認めるHOCM例で胸痛が主訴であった.心エコー図では心室中隔厚3.8cm,左室後壁厚1.9cmで,厚比2.0のASHを呈していた.症例2は51歳男性で,呼吸困難を主訴に来院,心不全にて入院治療を行った.治療後の心臓カテーテル検査では心係数1.92l/min/m2,左室拡張末期容量係数109.1ml/m2であり,駆出率は44%であった.症例3は59歳男性で,陳旧性心筋梗塞(下壁)例であるが,冠動脈造影ではAHA分類seg.13 90%,seg.7 75%狭窄を認めた.しかし,心筋シンチで欠損像を呈した下壁以外の壁において,左室造影で壁運動低下を認めた.心筋生検では全例肥大所見を認めた他,高コレステロール血症も伴っていた.HLA解析ではhaplotypeの関連が確認され,家族性心筋症を検討する上で重要な要素と考えられた.

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