心臓
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研究 冠側副血行路の左室瘤形成阻止効果の検討
金政 健小菓 裕成小川 巌石田 典裕清水 稔加藤 久晴鎌田 勲昭石川 欽司香取 瞭
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1996 年 28 巻 2 号 p. 85-90

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抄録
急性心筋梗塞における急性期および慢性期の冠側副血行路(Coll)が左室瘤発生を防止しうるかを検討した.対象は急性期,慢性期に冠動脈造影,左室造影を施行した発症2 4 時間以内の初回貫壁性急性心筋梗塞65例である.急性期,慢性期いずれも梗塞責任冠動脈が非再開通であった症例を非再開通群(14例),責任冠動脈の非再開通を確認後,再開通した症例を再開通群( 5 1 例) とした. 左室瘤出現頻度は,再開通群36%,再開通群27%であった.左室瘤の大きさは再開通群で非再開通群に比べて有意に小さかった. 左室瘤出現頻度を急性期C o l l の存在でみと,非再開通群,再開通群いずれでも急性期Collは左室瘤出現頻度に無関係であった.それに反して,非再開通群で慢性期Collの有無でみると,慢性期Collの存在する場合に存在しない場合より左室瘤出現頻度が小さかった(11%vs80%)(p<0.05).したがって,慢性期までに発達する十分な冠側副血行路は左室瘤形成を防止すると考えられる.
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